A群溶血性レンサ球菌感染症
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臨床症状(国際感染症臨床情報より)

 1 急性感染症

  a. 咽頭炎 pharyngitis
   ・飛沫などを介してヒトからヒトへ経気道感染する。冬期から春にかけ、学童期に好発する。
   ・ 2-4日の潜伏期の後、発熱、咽頭炎、扁桃腫脹、前頚部リンパ節腫脹などが認められる。
   ・本症自体の予後は良好だが、後述の続発症の原発巣となり得るため注意が必要である。

  b. 猩紅熱 scarlet fever
   ・発赤毒素を産生するA群レンサ球菌による咽頭炎が原発巣となり発症する。
   ・皮膚の末梢血管の拡張により特徴的な皮膚の紅班を呈する。体幹・頚部から始まり四肢に及ぶ。
   ・回復期に皮膚の落屑がみられる。

  c. 丹毒 erysipelas
   ・顔面または四肢の急激な発赤腫脹で発症する。疼痛を伴う境界明瞭な紅班が認められる。
   ・2-3日で大きな皮膚水疱に進展する。

  d. 膿痂疹 impetigo
   ・擦過傷部位に感染し、黄色化膿巣を形成する。

  e. 蜂巣織炎 cellulitis
   ・表皮および皮下組織へ本菌感染が波及し、腫脹、発赤、疼痛を限局性に認める。

  f. 壊死性筋膜炎
   ・筋膜、脂肪組織の急速な壊死をきたす皮下組織の炎症である。

  g. 劇症型レンサ球菌感染症 severe invasive streptococcal infection またはトキシックショック様症候群 
   toxic shock-like syndrome(TSLT) またはレンサ球菌性トキシックショック症候群 stre0tococcal toxic
   syock syndrome(STSS)
   ・高頻度に軟部組織の壊死性炎症が認められ、ショック症状、敗血症、DICなどとともに多臓器不全が起
    こり、死亡率がきわめて高い疾患である(死亡率30-40%)。
   ・発生機序は不明だがスーパー抗原である発熱毒素が関与しているものと考えられる。

 2 続発症

  a. 急性糸球体腎炎 acute glomerulonephritis(AGN)
   ・A群レンサ球菌による咽頭炎および皮膚感染症に続発する(3-4週後)糸球体性の腎炎である(病巣感
    染 focal infection)。
   ・高血圧、血尿、タンパク尿などの症状が認められる。
   ・レンサ球菌由来の抗原とその抗体との複合体が糸球体基底膜に沈着し、補体が活性化されることに
    よると考えられる。
  
  b.リウマチ熱 acute rheumatic fever(ARF)
   ・A群レンサ球菌の咽頭炎などの後1-4週に発熱、多発性関節炎、心臓炎などが認められる(病巣感
    染)。
   ・レンサ球菌細胞壁のM蛋白と心臓組織とに共通抗原があるため、自己免疫的に心筋、心内膜、心臓
    弁などの組織障害が起きるものと考えられている。

T型別

感染症発生動向調査病原体定点及び菌株収集事業による県内10医療機関等から収集されたA群溶血性レンサ球菌のT型別(平成16年1月から平成21年12月)は下表のとおりである。
平成21年はT-12型が多く検出された。新型インフルエンザの流行のためか、収集菌株は例年より少なかった。

A群溶血性レンサ球菌のT型別(平成16年1月から平成21年12月)





平成20年からT-12型が全国、九州地区、佐賀においても過半数を占めている。平成21年、全国、九州で検出数の多いT-4型は佐賀県からは検出していない。(下図)。


 リウマチ熱はT-1、T-3、T-5、T-6、T-18型、劇症型溶血性レンサ球菌感染症はT-1、T-3型が多く見られる(Moss and Adams Heart Disease in Infants, Children, and Adolescents Including the Fetus and Young Adult 5thed 他より)ので今後も流行状況に注意を払う必要がある。


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